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■NEWS!
ゴダール信奉者は見るのが怖い!?
天才ゴダールを赤裸々に描いた 7月13日(金)公開『グッバイ・ゴダール!』
彼のミューズで原作者、アンヌ・ヴィアゼムスキー役を演じたステイシー・マーティンが来日!



■ヌーヴェルヴァーグの代名詞、だれもが天才と認めるフランス映画界の大御所ジャン=リュック・ゴダール。若き日の私生活を赤裸々に描いた『グッバイ・ゴダール!』の公開を前に、主演女優のステイシー・マーティンが来日。東京都内で記者会見を開いた。
映画は新進気鋭の監督ゴダールと恋に落ちた学生で女優の卵アンヌ・ヴィアゼムスキーが、彼と結婚し新作『中国女』の主演女優となり、刺激的な日々を送ってゆく様子を「五月革命」真っただ中のパリを背景に描いたもの。のちに作家となったヴィアゼムスキーの小説が原作で、ゴダールにもっとも近いところにいた人物の作品とあって、その内容はときにスキャンダラスで辛らつだ。それを『アーティスト』の監督アザナヴィシウスは、パロディ表現などを随所に取り込みながら軽やかに描いている。主人公で原作者のヴィアゼムスキーは残念ながら2017年10月に病死したが、完成に間に合い作品に満足していたという。 (2018年6月9日 記)
この作品のオファーを受けた時の気持ちは?
■とても興奮しました。とくに、アザナヴィシウス監督が彼の得意とするコメディにふたたび立ち戻る作品であり、フランスではだれもが知っ ているゴダールを扱った映画というだけでなく、斬新でワクワクするような作品というところにも惹かれました。今回演じたアンヌ・ヴィアゼ ムスキーの、作家としての側面は知らなかったですが、そういった部分も含めて役者・作家としての彼女を知ることができ、そこ で感じたことを物語を通して伝えるということが重要だと感じました。

アンヌ・ヴィアゼムスキーは女優でありながら作家でもあり、とても多才な女性だと思います。実在の人物である彼女を演じるにあたって準備したこと、心がけたことはありますか?
■実在の人物を描いた作品であり、アンヌ・ヴィアゼムスキー自身が書いた原作がもとになっているので、その部分も大切にしながらアプローチしていきました。彼女自身も快くサポートしてくれました。彼女のエッセンスや感受性を大切に保たなければと思う一方、監督は最初から伝記物にはしないと言っていました。いろんな要素を咀嚼して再解釈する「ポ ップ・コラージュ」をこの作品で取り入れています。そしてアンヌに関しては、監督とも相談して彼女そのものを演じるというよりはもっと抽象的な、あの時代のアイコンと呼ばれていた女性たちすべてを包括した、たとえばジェーン・バーキンやゴダー ル作品(『男性・女性』)にも出ていたシャンタル・ゴヤのようなキャラクターにしようと決めました。
現代を生きるあなたが1968年を生きたパリジェンヌを今回演じて、気づいたことや発見はありましたか?
■時代をさかのぼって身を置くことがこんなにも楽なのかと思うくらい、すっと役に入ることができました。五月革命のシーンで参加してくれたエキストラのお陰で、重みを感じるというよりすんなりとこの時代に共感し、役に入ることができました。60年代そのものにすごくエネルギーやバイタリティがあったと思います。環境づくりをしてもらえたお陰で役に入ることができ、ひとりの役者としてもワク ワクしました。
ゴダールのファンでない方も楽しめる作品ですが、一方でゴダールの熱狂的なファンからはどのような反応があると思いますか?また、プレッシャーはありましたか?
■もちろんプレッシャーは最初から感じていましたし、監督ともその点を話していました。監督もゴダールを題材にした作品ということを意識し ていました。ただ、この作品はジャン=ピエール・メルビル監督の『恐るべき子供たち』(1950年)のような遊び心を持って描いています。 個人的には映画はディスカッションのきっかけにもなると思っていますし、決してこの作品はゴダール作品への考察や良し悪しを決めるものではありません。そもそも、ゴダールを一度愛したアンヌ・ヴィアゼムスキーが原作を書いていて、監督がそれを読んで伝記物でなくコメディにしようと決めたわけです。ですからわたしたち役者も楽に演じることができたのです。カンヌで正式上映をしたときときに正直、熱いゴダールファンのなかには気に入ってもらえない方もいました。ですがそういった方でも「アザナヴィシウス監督らしい作品」「とても面白かった。笑えました」「映像も美しかった」と言ってもらえたので、コンセプトだけ気に入らなかったのかなと感じましたし、そういった 意見を聞けて面白いなと思いました。
映画好きにとってはゴダールやアンヌの伝記的な部分で楽しめる一方、日本ではゴダール監督になじみのない人も多くいます。そういった人たちにアピールできるこの映画の普遍的な魅力は何でしょうか?
■ゴダールのことは忘れて観ましょう!邦題は『グッバイ・ゴダール!』です(笑)この作品はラブストーリーでありコメディでもあるので、 ゴダールのことをまったく知らなくても楽しめる映画だと思います。映画やゴダールに関する知識をプレッシャーに感じずに観てもらえ ばと思います。もちろん観たあとに、ゴダール作品やアンヌの出演した作品、小説、アザナヴィシウス監督の過去作にも興味を持 てもらえたら嬉しいですね。
今回の役柄は監督という年上の尊敬できる存在に影響を受けていましたが、これまで出演したなかで影響を受けた監督や作品 はありましたか?
■いままでコラボレーションしたすべてのアーティストから影響を受けています。偶然にも多くの方が自分より年上なんですが、同世代では『シークレット・オブ・モンスター』(2015年)のブラディ・コーベットや『TREAT ME LIKE FIRE(JOUEURS)』(2018年)のマリー・モンジュという女性監督&ライターともお仕事をしたことがあります。この仕事をしているなかで学んだことは、年齢は関係ないということです。ラース・フォン・トリアー監督とご一 緒したときもほんとうに若々しくて、大胆に遊びながら映画をつくっている姿にインスピレーションを受けました。その瞬間をしっかり受け 止めて、なにごとにももの怖じせずに楽しむことが大切だと思います。
本作を観て、ゴダールは面倒くさい男性だなと思いましたが、ご自身はこういった恋愛経験はありますか?
■アンヌはこれからステージを駆け上がる存在であり、対照的に地位が確立されたゴダールは自問を続け自己否定していきます。おたがい同じアーティストでも、置かれている立場は違っていて、彼女はそれをわかったうえで長いあいだ彼を観察し、忍耐強くいろいろなことを感じて最終的には別れを決めるわけです。 ただ、別れ方もエレガントで、正直で誠実だなと胸打たれました。アーティストとしてのゴダールがそのまま在れるような、勇敢な行為だと思いました。
7歳から13歳まで日本に住んでいましたが、今回来日して日本の印象は変わりましたか?
■やっぱり変わりましたね。私自身も大人になったので、東京という街との関係性も変わっています。子どもの頃に過ごした東京はわたしに多くの自由を与えてくれました。住んでいたころはフランス学校に通っていて、ひと夏だけふつうの小学校にも通ったことがありました。 クラスメイトがみな真面目だった印象があります。もちろんあの頃と変わっていない部分もありますが、六本木など様変わりしている 場所もある。ただ、私にとっての日本のエッセンスはまだまだ残っていると思うし、とても嬉しい気持ちです。
        ■■■■■ステイシー・マーティン■■■■■
               STACY MARTIN
1991 年1月1日、フランス・パリ出身。フランス人でヘアスタイリストの父とイギリス人の母をもち、7歳から 13 歳までは日本で暮らした。ファッションモデルとしてキャリアをスタートさせ、イギリスで演技を学んでいる時にラース・フォン・トリアー監督『ニンフォマニアック』のオーディションに参加。シャルロット・ゲンスブール演じる色情狂のヒロイン、ジョーの若い頃に抜擢されスクリーンデビューを飾る。同作でデンマーク映画批批評家協会賞の主演女優賞 にノミネートされた。その後、ジャン=ポール・サルトルの短編小説をベースにした心理ミステリー『シークレット・オブ・モンスター』(15年)、イタリアの マッテオ・ガローネ監督『五日物語 3つの王国と3人の女』(15年)、英 SF 作家 J・G・バラードの長編小説をベン・ウィートリー監督で映画化した『ハ イ・ライズ』(16年)などに出演。さらにモデルとして Miu Miu 初のフレグランスの広告塔に起用され注目を集めた。


●パリで暮らす哲学科の学生アンヌ19 歳(マーティン)の人生に驚きのできごとが起こる。世界中から注目される天才監督ジャン=リュック・ゴダール(ガレル)と恋に落ち、彼の新作『中国女』で主演を飾ることになったのだ。新しい仲間たちと映画をつくる刺激的な日々、そしてゴダールからのプロポーズ。生まれて初めての体験ばかりの毎日にアンヌはあらゆることを夢中で吸収していく。パリの街ではデモ活動が日に日に激しくなり、ゴダールは次第に革命に傾倒していく。

■グッバイ・ゴダール!  7月13日(金)~新宿ピカデリーほか 
              監督:ミシェル・アザナヴィシウス 出演:ルイ・ガレル/ステイシー・マーティン
              2017年仏国(108分) 配給:ギャガ 原題:LE REDOUTABLE
              ©LES COMPAGNONS DU CINEMA ? LA CLASSE AMERICAINE ? STUDIOCANAL ? FRANCE 3.  
              公式サイトhttp://gaga.ne.jp/goodby-g/







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